学会報第33号

(2016年5月31日発行)

訂正

日本法哲学会奨励賞の記事(4ページ)において、中山竜一理事の肩書が「奨励賞選定委員会委員長」と誤っていました。正しくは「奨励賞選定委員会幹事」です。お詫びして訂正します(ウェブ掲載のものは修正してあります)。(大屋)

不発弾処理のことなど

日本法哲学会理事長 亀本洋(京都大学)

沖縄大会三日目のバス見学はとても楽しく、かつ有益でした。天気がよかったこともあり、小中学生の社会見学のように、参加者たちの楽しそうな和気あいあいとした姿がとても印象的でした。
私としては、不発弾処理に当たる自衛隊の方々のお話が、一番印象に残りました。不発弾は信管さえ抜いてしまえば危険でなくなるのですが、なかには、プロペラ式の信管など抜くのが難しいものもあり、米軍はロボットを使ってやっているが、自衛隊は人間が命をかけてやっているという話を聞いたときは驚きました。ロボットでやると、失敗して爆発し、付近の土地、家屋に回復不能な損害が生じることもままあるが、アメリカでは人命のほうが大切だから、補償金ですましているそうです。日本では、土地家屋のほうが大事なので、失敗したら、自衛隊員が少なくとも4人死ぬことになります。幸いにして、まだ一度も失敗したことはないそうですが、万一事故が起こったら、自衛隊のあそこが悪い、ここが悪いなどとマスコミが騒ぎ立てる事態が目に浮かびます。
また、参加者の中には、不発弾から信管を抜いた後の爆薬を処理しているのが民間企業だという話を聞いて、それはいったいどこの会社なのだといった、いかにも法哲学者らしい質問をした人もいたのですが、それに的確に答える自衛官の話を聞いて、私などはなんと優秀なのだと驚いたものです。ご本人は中卒だと自慢していましたが。
そのほか、ジェット戦闘機を間近で見ることができたり、沖縄国際大学の屋上から普天間基地を一望できたり、有益な体験がたくさんできました。同大学の徳永賢治先生、小柳正弘先生には、改めて御礼申し上げます。
地方で学会を開催するときなど、今回のようなサービスをしていただくと大変ありがたいのですが、今後、地方開催(5年に1度)の担当になる先生方(まだ全然決まっていませんが)には、負担が大変ですので、あまり無理をなさらぬよう予め申し添えておきます。
事務局としては、地方大学や法哲学専攻の大学院生が一人もいない大学で大会を開催する場合、開催校の先生のご負担がきわめて大きいので、これをできるだけ軽減したいと考えておりました。沖縄大会ではいろいろ実験的な試みをさせていただきました。たとえば、個別報告および統一テーマで配布するレジュメのコピーを全部外注したらどうなるか、ということを実際にやってみました。メールでデータを送ったつもりが、届いていないことが大会開催前日にわかったり、などということもありました。幸いにして、どうにか間に合いました。今後、特別基金の使い方も含め、沖縄での経験を生かして、大会開催校の負担ができるだけ小さくなるよう努力するつもりです。
今年の学術大会・総会は、11月12日(土)、13日(日)立教大学池袋キャンパスで開催されます。開催校の瀧川理事には、会場確保なども含め、すでに大変お世話になっています。今後ともよろしくお願い申し上げます。会員のみなさまのご参加もどうかよろしくお願いいたします。
ここからは、純粋に事務的な事項をひとつだけお伝えしておきます。法哲学年報は、定価を3800円に抑える(会員には3000円で頒布します)のと引き換えに、ページ数が増えたときは法哲学会から資材費補助をするという契約になっています。20万、30万の出費は想定内ですが、50万を超えると長期的には心配ですので、2015年度(沖縄大会、出版は2016年10月)より後の年報からは、執筆者に字数制限を従前より厳しく守っていただくようお願いするつもりです。その点、年報担当または「論争する法哲学」担当理事から要望された場合、気を悪くされないよう、お願い申し上げます。
一番大事なことを書き忘れました。引き続き約2年間、理事長として日本法哲学会のために微力ながら全力を尽くす所存ですので、ご支援のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。