2022年度 日本法哲学会奨励賞 (2021年期)

 日本法哲学会は、2022年度日本法哲学会奨励賞を以下の通り決定しました。授賞式は2022年度の学術大会・総会の際に行なわれました。

著書部門

菊地諒
『「法と経済学」の揺籃』
(成文堂、20213月刊行)

学会奨励賞選定委員会の講評

本書は、「法と経済学」に関する従来の教科書的な説明とは異なり、19世紀末以降のアメリカにおける産業化に伴う社会問題の浮上と、その問題を解決するためには経済システムを統制するためのいかなる法を制定すればよいかという議論が行われていたことに、着目する。本書はその上で、ドイツで確立された歴史学派の経済理論がアメリカにおいて受容されて、法学と経済学を統一的に理解する試みがなされるようになった経緯を、それぞれの論者たちの著書・論文を丹念に読み込んだ上で説得的に示しており、従来のアメリカ法思想・法哲学の理解を塗り替えるものである。本書の論旨は明快であり、記述も平易である。課題の設定や全体の構成が明確で、一冊の書物としてのまとまりがある点も評価できる。
なお、「法と経済学」前史を描くには、経済学の知見を身に付け、経済学の基本的な一次文献(ドイツの歴史学派にもふれるのであれば、できればドイツ語文献も含めて)にも着手する必要はあるが、それは著者の今後の課題である。
本書は、19世紀末以降のアメリカの社会問題と、それを解決するための経済システムを統制する法のあり方について検討することで、「法と経済学」の揺籃を描き出すことに成功している。以上の理由から、本書は学会奨励賞に値するものと評価された。

日本法哲学会奨励賞への推薦のお願い[2022年期] (2021年10月2022年9月分)

 日本法哲学会では、法哲学研究の発展を期し若手研究者の育成をはかるために学会奨励賞を設けています。

2023年度[2022年期]受賞候補作について、次の通り、日本法哲学会会員による推薦を受け付けますので、ご推薦いただきますようお願いいたします。自薦/他薦を問いません。(詳しくは日本法哲学会奨励賞規程をご参照ください。)

対象作品
2021年10月1日から 2022年9月30日までに公刊された法哲学に関する優れた著書または論文(全体として10万字を超える論文は、著書として扱います。)
刊行時の著者年齢が著書45歳まで、論文35歳までのもの


推薦は、左にありますエントリーシートにより、日本法哲学会事務局の推薦受付用アドレス (prize@houtetsugaku.org) までお寄せください。
自薦の場合には、推薦に際し写しで結構ですから作品一部を添付願います。また、他薦の場合であっても、論文については、後日、日本法哲学会事務局から推薦者等に対して、作品1部の提出をお願いすることがあります。

上記の写しは、電子データ(ワープロ原稿など)がお手元にある場合には、それを送信いただいても結構です。ただし、公刊されたものと大幅に内容が変わっている場合には、公刊されたもの(著書、論文抜き刷り)またはそのハードコピーを郵送して下さい。
いずれの場合も、2023年度[2022年期]については2023年1月31日が締切となります。同日中に日本法哲学会事務局に到着するよう、お送りください。
選考結果の発表および受賞者の表彰は2023年度学術大会において行われます。

奨励賞選定委員会委員長 森村 進 
       同幹事 濱 真一郎