2017年度学術大会
生命医学研究と法

日 程:2017年11月18日(土)・19日(日)
場 所:大阪大学豊中キャンパス

統一テーマ企画「生命医学研究と法」 提題趣旨

旗手俊彦(札幌医科大学)


現代日本の成長戦略として「ライフイノベーション戦略」が推進されており、そこでは生命医学研究の一層の発展が政府の目標とされている。他方で日本では近年深刻な研究不正が大きな社会問として関心を 呼んでおり、生命医学研究が公正に推進され、その結果が人々の幸福につながる流れを造る上で、法がいかなる役割を果たしうるかが今日問われている。
生命医学研究に法が関与する意義として、次の三つの理由が挙げられる。その第一は、研究対象者の人権を保護しなければならないからであり、人権問題はまさに法的マターといわなければならない。第二に、生命医学研究には負担と恩恵のバランスという正義問題が内包されている。典型的には、経済的困窮の故に医療資源にアクセスするのは臨床研究あるいは臨床試験に参加するほかはなく、その研究あるいは試験の結果効能の高い医薬品や治療法が開発された後には、その階層の人々は医療費を支払うことができないためその恩恵に与ることができないというアンバランスが容易に発生する状況を今日の世界が迎えている。負担と恩恵のバランスを確保するには、法的インフラが何らかの役割を果たしうるであろう。そして第三に、将来の研究成果を確実に人々の福利に還元させるためには、少なくとも今日では研究は公正に行わなければならず、すでにそれを確保するために各種の法律やガイドライン等が制定されている。しかし狭い意味でのリーガリズムに陥ることなく、生命医学研究とさまざまな法(的諸規制)とが、相互にそれらの目的にかなうための協働関係に立つためには、生命医学研究に関するそれらの法的規制の趣旨・理念や立法事実、また各層からなる法的規制の種類と全体像を概観した上で、現行の法的諸規制の妥当性を批判的に検証する意義が高いと考えられるからである。その検証は、個々の規制を単独に考察することもさることながら、法的規制全体としてのバランスや規制目的との整合性、あるいは特にソフトローに関してはその法的正当性の調達如何、そして何よりも法学者も含めた法律家の役割についてもなされなければならない。 そうすると、その検証作業は、個別の実定法解釈というよりも、包括的・原理的な思考を得意とする法哲学会が取り組むことが適切と考え、今回の統一テーマを企画した。

11月18日(大会1日目)
[午前の部]
〈個別テーマ報告〉
  《A分科会》(なし)・土屋武・吉良貴之・三代川邦夫
  《B分科会》米村幸太郎・森悠一郞・本多康作・伊藤克彦

[午後の部]
〈ワークショップ〉
  《Aワークショップ》
    「生命医科学の発展がもたらす倫理的法的社会的問題の学際的考察」
      (開催責任者・瀬戸山晃一(京都府立医科大学))
  《Bワークショップ》
    「R.ブランダムと法理論」 
      (開催責任者・若松良樹(学習院大学))

〈総会〉
[懇親会]

11月19日(大会2日目)
〈統一テーマ報告〉
旗手俊彦(札幌医科大学)
  「統一テーマ企画「生命医学研究と法」 提題趣旨」
菱山豊(日本医療研究開発機構)
  「生命医学研究における公的規制」
田代志門(国立がん研究センター)
  「倫理審査委員会の役割を再考する――「被験者保護」を超えて」

米村滋人(東京大学)
  「生命医学研究の法制度設計に関する課題と展望」
野崎亜紀子(京都薬科大学)
  「生命医学研究におけるプロフェッショナリズム・ガバナンス・法」

奥田純一郎(上智大学)
  「生命医学研究における倫理と法――民主制との関わりにおいて」
平野仁彦(立命館大学)
  「生命医学研究における法の位置と役割」

森際康友(明治大学)
  「総括コメント「生命を守る制度を支えるもの」」

シンポジウム「生命医学研究と法」
  司会 酒匂一郎(九州大学)・旗手俊彦(札幌医科大学)

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