2023年度学術大会(終了)
法哲学の現在
(日本法哲学会創立75周年記念)
日 程:2023年11月4日(土)・5日(日)
場 所:同志社大学 今出川キャンパス
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法哲学会創立75周年記念大会統一テーマ
「法哲学の現在」について
亀本 洋(明治大学)
日本法哲学会は1948年5月30日に創立されました。50周年の企画は、1997年「20世紀の法哲学」および1998年「知的資源としての戦後法哲学」として連続して行われました。理事会内外で75周年もやったらどうかという話が前々からあり、約4年前に日本法哲学会理事会で正式決定され、75周年の記念大会を本年の学術大会で開催することになりました。私は、本大会の委員長に指名されましたが、大したことはしておらず、企画委員、実施委員、理事・役員、グループリーダー、報告者、その他の法哲学会会員の皆様のご協力のもと、以下のような充実した学術大会企画内容ができました。以下、それを手短にご紹介します。各グループの報告概要の紹介については、各グループのリーダーにお任せします。
企画の形式は上記「20世紀の法哲学」に基本的に倣いました。第一に、報告者は日本法哲学会会員に限定する、第二に、報告をいくつかのグループに分け、人選・報告者間の報告内容の調整は基本的にグループリーダーにお任せする(もちろん、企画委員会および理事会にも諮られます。)、ということです。
各グループにどのようなテーマで報告していただくか、グループリーダーをだれにするかは、私が適当に提案し、企画委員会および理事会でご議論いただき、決定されました。各グループの報告は、池田弘乃リーダーの「性・生殖・法」、石山文彦リーダーの「多様性の価値はどこにあるのか」、山田八千子リーダーの「法哲学と実定法学・法実務」、住吉雅美リーダーの「関係的平等主義」、大屋雄裕ならびに松尾陽リーダーの「専門家のあり方――現代デモクラシー論と結びつけて」、中山竜一リーダーの「法哲学における歴史の問題」の順で二日間にわたり行われることになっています。
なお、「専門家のあり方」グループだけリーダーが二人になっているのは、当初那須耕介会員にリーダーをお願いし、快く引き受けていただいたのですが、当時から病気が悪化するおそれもあり、那須さんを補助するという意味で予備的に大屋会員と松尾会員にもお願いしておりました。不幸にして、予備の方が共同リーダーをすることになった次第です。
本大会の統一テーマは「法哲学の現在」というものですが、この題名に合わせて、各グループの企画が練られたわけではありません。人選も含めて、各グループリーダーが面白いと思う報告内容にしていただきたい、というのがこちらの趣旨でして、全部をまとめるような気の利いた題名を思いつかなかったもので、「法哲学の現在」といういささか平凡な名前になってしましました。
各グループの報告内容は、各グループのリーダーとグループ内の報告者が相談して決めていただくということですが、こちらから若干の要望を出しました。一つは、グループ内のメンバーが同じ方向を向いているのではなく、多少なりとも意見の違うメンバーを選んでもらって、論争的になるのが望ましい。もう一つは、外国の話をするのは構わないが、日本でどうなのだということも取り上げていただきたい、ということです。この二つのうち、少なくとも一つには応えていただきたい、というのが私からの要望でした。
それで、各グループ――計6グループですが――に持ち時間100分を与えて、報告者数も含め、その時間内に自由にやっていただきたい、ただし、実質的な統一テーマがないこともあり、また「20世紀の法哲学」に倣って、全体のシンポジウムはやりませんので、グループごとに参加会員からの質疑応答の時間を設けてほしい、ということだけは要請しました。
最後に「法哲学の現在」という統一テーマ名についてですが、本大会が日本ないし世界の「法哲学の現在」を表しているという趣旨ではありません。たしかに、現在の日本法哲学会員が関心をもちそうなテーマについて、グループリーダーを含め、私が適当に原案を出したというのは事実です。しかし、ここで取り上げられていない重要なテーマがあることもまた事実です。何が重要かは、法哲学者各人が自分で判断するべきものだと考えます。ことによると、だれも注目していない問題が最も重要かもしれない。今回は記念大会ということもあり、一見総花的にやりましたが、だれも関心をもたないが自分だけが面白いと思う、そういうテーマを研究することも法哲学者の使命だと考えております。
11月4日(大会1日目)
[午前の部]
〈個別テーマ報告〉
《A分科会》山本啓介・平手賢治
《B分科会》大工章宏・本庄萌
〈75 周年記念誌企画〉
森村進(一橋大学名誉教授)
「75周年記念誌『法哲学会の発展と将来』の発行について」
[午後の部]
〈統一テーマ報告〉
亀本洋(明治大学)
「大会企画趣旨説明」
《グループ1 性・生殖・法》
池田弘乃( 山形大学 )
「企画趣旨説明」
松田和樹(早稲田大学助手)
「婚姻の契約法化と養育の制度の行方」
小久見 祥恵(同志社大学嘱託講師)
「フェミニズムの身体論と法制度:アシュリーXの事例を手がかりに」
綾部六郎(名古屋短期大学)
「さらにべつの、あるいはトランスする正義論」
《グループ2 多様性の価値はどこにあるのか 》
石山文彦(中央大学)
「企画趣旨説明」
吉岡剛彦(佐賀大学)
「障害/ジェンダーをめぐる多様性
──それが社会をはみ出す境界域のほうから考える」
浦山聖子(成城大学)
「多様性主義の可能性と限界──多文化主義の視点から」
若松良樹(学習院大学)
「多様性(概念、価値、デザイン)」
〈総会〉
11月5日(大会2日目)
〈統一テーマ報告〉
[午前の部]
《グループ3 法哲学と実定法学・法実務》
山田八千子(中央大学)
「企画趣旨説明」
菊池亨輔(京都大学)
「法的思考の分化と成熟を経て」
米村幸太郎(立教大学)
「言うほどすれ違っているのか―現代正義論と実定法学・法実務との関係」
山田八千子(中央大学)
「法哲学と実定法学・法実務との距離」
亀本洋(明治大学)
「コメント」
嶋津格(千葉大学名誉教授)
「コメント」
《グループ4 関係的平等主義》
住吉雅美(青山学院大学)
「企画趣旨説明」
森悠一郎(北海道大学)
「「分配的平等主義」対「関係的平等主義」論争の現代的意義
──関係的平等主義は「再分配の正義」とどう向き合うべきか? 」
藤岡大助(亜細亜大学)
「関係的平等主義に対する分配的平等主義からの疑念」
井上彰( 東京大学 )
「共和主義と切り離された関係的平等主義の擁護」
[午後の部]
《グループ5 専門家のあり方:現代デモクラシー論と結びつけて》
大屋雄裕(慶應義塾大学)
「企画趣旨説明」
永石尚也(東京大学)
「現代統治における専門家」
関良徳(信州大学)
「民主政における専門家」
松尾陽(名古屋大学)
「コメント」
《グループ6 法哲学における歴史の問題》
中山竜一(大阪大学)
「企画趣旨説明」
森元拓(東北公益文科大学)
「普遍と特殊のあいだ──法の継受における「国体」の功罪」
菅原寧格(北海学園大学)
「東アジアで法を考えるということ」
鈴木慎太郎(愛知学院大学)
「 欧米の法学・法曹教育における法思想的内容の意義と役割
──何のための「法思想史」か? 」
鈴木康文(桃山学院大学)
「法思想史教育・研究の過去と将来」