学会報第31号

(2015年5月31日発行)

〈訂正とお詫び〉

会員各位に郵送した『学会報』第31号の7頁に、事務局のミスにより、記載の誤りがありました。以下に訂正いたします。会員の皆さまと関係各位にお詫びを申し上げます。

2014年度奨励賞選定委員会「委員長」 中山竜一(大阪大学)
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2014年度奨励賞選定委員会「幹事」 中山竜一(大阪大学)

理事会の様子のご紹介など

日本法哲学会理事長 亀本洋(京都大学)

一般会員の皆様におかれましては、日本法哲学会の理事は何をやっているのかご存じない方も多いと思われます。そこで今回は、その一端をご紹介したいと思います。内部の委員会の一部の詳しい紹介については、今回、前企画委員長の陶久理事、現同委員長の住吉理事、特別基金検討委員会幹事の関理事にお願いいたしましたので、私は全般的なお話をさせていただきたいと思います。
理事の役割の一つは、大会開催校を引き受けるということです(理事ではない会員に引き受けていただくこともありますが、理事であるほうが準備状況等の報告・相談にあたってなにかと便利です)。多くても10年に1回しか回ってきませんが、大会開催校の業務は短期間だとはいえ大変です。法哲学専攻の大学院生が2、3人でもいる大学なら多少なりとも助かりますが、法哲学者が一人しかいない大学だと本当に大変です。しかし、私の知る限り、過去の引受校の先生方は全員、困難な条件にもかかわらず、文句ひとつ言わずに学術大会成功のために誠心誠意尽力されました。
日本法哲学会理事(幹事を含み、過去の理事長経験者を除く)は、現在33名おり、創設以来一貫して会員数約500名の学会にしては、やや多いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、理事の最も重要な役割は、各種委員会等における実働部隊として働くということです。少人数に仕事の負担が集中することを避けるため、ある程度の人数が必要なわけです。具体例を一つだけあげますと、学術大会個別報告および法哲学年報公募論文の査読という結構負担になる仕事があります。これは、一般会員にお願いすることもあるのですが、締切が延長された場合などは、ごく短期間で査読する必要があり、普通は、理事に査読を回して早急に結果を出してもらうということになっています。
また、査読の結果を集約するとともに応募者および査読者と何度もやりとりする査読委員長(現在は宇佐美理事)の仕事は大変です。事実上一人でやるので、情報が漏れないという点ではいいのですが、事務局長を除けば、理事のなかでは一番負担が重くなります。
理事のもう一つの仕事は、若い法哲学研究者に目配りして、こういう人がいるから、学術大会で報告してもらったらいいのではないかとか、企画委員会に入ってもらったらいいのではないか、といった意見と情報を提供したり、一般会員の意見を理事会に伝達したりすることです。
もちろん、理事には、これからの日本法哲学会をどうしていくか、といったことについて考えるという仕事もありますが、私としては、そのような仕事は会員のだれがやってもよく、一般会員ができればやりたくない仕事をやるのが理事の使命だと考えております。
理事会全体の雰囲気は、文字どおり仲間という感じです。理事会の議題のなかにはルーティン作業も若干ありますが、具体的な項目について、文字どおり討議するという感じで、しゃんしゃん教授会みたいなところは全くありません。こういう前近代的というか、せいぜい近代的な雰囲気がずっと続けばよいと私は思っています。
話は変わりますが、今年の11月7日(土)、8日(日)に開催される沖縄県那覇市沖縄県市町村自治会館(空港からモノレールで20分くらいの本当に便利な場所です)で開催される学術大会・総会の件についても一言のべておきます。
11月7日(土)午前の部の最後に、学術大会をお引き受けいただいた沖縄国際大学の徳永先生を責任者とする特別企画を実施する予定です。そして、11月9日(月)に、その特別企画の延長のようなものとして、沖縄国際大学および隣接する米軍基地(外から眺めるだけ)、航空自衛隊その他の巡視を実施する予定です。上記自治会館前から朝9時頃にバスで出発し、午後4時に那覇空港まで参加者をお送りする予定です(4時以前に那覇空港に向かう必要がある方がいらっしゃる場合、適宜、交通の便のよいところで停車する予定です)。会員の皆様には、可能でしたら1月9日(月)までご予定に入れていただき、ふるってご参加いただきますようお願い申し上げます。午後4時という上記那覇空港到着予定時刻につきましては変更しない予定です。9月ころにお送りする学会案内で、詳しいスケジュールをお知らせします。その際同封いたしますはがきで、学術大会へのご参加の有無と合わせ、11月9日(月)企画へのご参加の有無も事前にお知らせいただければ、バスの予約等の関係もあり、幸甚です。
沖縄大会成功に向けて、理事会、事務局一丸となって取り組む所存ですので、会員の皆様方のご参加・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
それと情報提供ですが、昨年10月に公刊された法哲学年報2013『民事裁判における「暗黙知」――「法的三段論法」再考――』が半年足らずで売り切れ、(未購入の会員もいらっしゃいますので)増し刷りされました。おそらく前代未聞のことだと思います。漏れ聞くところによりますと、普段はまず買わない判事や弁護士の方々が買ってくださったようです。高橋文彦大会委員長主導の企画がよかったことももちろんありますが、加えて、当代一流の裁判官の方々に執筆いただいたことも大きかったのではないか、と推測しております。いずれにせよ、法律家の方々も法哲学に無関心なわけではなく、取り上げ方によっては、興味を引く企画も可能だということがわかっただけでも、日本法哲学会にとって貴重な成果だったと考えております。今後とも各年度の大会企画につき、ご意見を頂戴するなど、ご協力いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。