学会報第46号

(2022年10月15日発行)

IVR Young Scholar Prize受賞のお祝い

日本法哲学会理事長 中山竜一(大阪大学)

 前回お送りした学会報45号「IVR日本支部からのお知らせ」欄でも報告がありましたが、このたび、服部久美恵会員(京都大学大学院地球環境学堂研究員)が IVR Young Scholar Prizeを受賞されました。受賞論文のタイトルは“The Third Party’s Duty of Justice: Combatting Grave Human Rights Violations”です。日本人研究者としては、2005年度に瀧川裕英会員が受賞されて以来17年ぶりの、2人目の受賞者となります。本当に素晴らしいことだと思います。おめでとうございます! 心よりお祝いを申しあげます。
 新しく会員となった皆さんのために、この賞について、ここで簡単に紹介しておきたいと思います。本学会とも深く関わる、法哲学・社会哲学国際学会連合(略称IVR)では、通常2年ごとに世界大会が開かれます。そして、大会の開催と合わせるかたちで、35歳以下の若手研究者による論文を募集し、そのうち最も優れた論文にIVR Young Scholar Prizeが授与されます。受賞者には、賞金に加えIVR世界大会での講演機会が与えられ、さらに受賞論文はArchiv fuer Rechts- und Sozialphilosophie (ARSP)誌上に掲載されます。このような大変栄誉ある賞ですので、是非とも若い皆さんには、瀧川会員、服部会員に続く受賞を目指して、ふるって応募してもらいたいと思います。
 個人的な話で恐縮ですが、大会参加の思い出をほんの少し。瀧川会員がYoung Scholar Prizeを受賞した2005年の世界大会は、スペインのグラナダで開催されました。その後は長らく参加できていませんが、このグラナダ大会には私も参加し、小さなセッションで報告をしたり、瀧川会員によるYoung Scholar Prize Lectureを聴講したり(見事な講演でした!)、世界各地の研究者たちとの会話から様々な刺激を受けたりしたことを鮮明に覚えています。新型コロナウイルスの世界的蔓延以降、海外に足を運んでの研究活動が困難となる状況が続いていますが、特に若い皆さんには、もしチャンスがあれば、IVR世界大会、東アジア法哲学会などの大規模な国際学会、あるいは海外の大学や研究機関が開催する研究会やセミナー等に積極的に飛び込んで、世界各地の研究者たちと交流の輪を拡げていってほしいと願います。