学会報第43号

(2021年5月31日発行)

コロナ禍の下の学術大会開催について

日本法哲学会理事長 森村 進(一橋大学)

 前回の学会報理事長あいさつを書いたのは2020年8月でしたが、それ以来新型コロナウィルスは一向に終息に向かわず、むしろ感染者はまた増加傾向にあります。感染予防のための期待が持たれているワクチン接種も、私がこの文章を書いている4月上旬では、65歳以上の高齢者への接種さえ始まっていません。先行きの見通しが立たないこのような状況のため、昨年から今年11月への延期が予定されていた、「感情と法」を統一テーマとする北九州市立大学における学術大会・総会の開催は結局断念して、オンラインで行うことになりました。
 この二年間にわたって長い間不安定な状態のまま、大会・総会の準備のため甚大な尽力とご心配をおかけすることになった重松博之理事(北九州市立大学)及び北九州市立大学の関係者の皆様にはいくら感謝しても足りません。おそらく通常の形で学会を実際に開催する以上のご苦労があったことと思います。
 すでに会員の皆さんがご存じのように、この3月から4月にかけては学会のウェブサイトで、特別企画「危機と法哲学」の8本の報告とそれに対する質疑応答が掲載されました。それに基づいてさらに推敲された報告が今年秋発行される『法哲学年報2020』に掲載される予定です。私もこの企画に参加してみると、口頭での報告と質疑応答のような生き生きとした臨場感が欠けるのは残念ですが、質疑応答を時間をかけて行うことができるので、質問者も報告者も熟考の結果を文章にできるという長所があるということを実感しました。今後もこのような質疑の方法は活用されるべきでしょう。
 この文章の最初に書いたように、昨年から延期された統一テーマ「感情と法」とワークショップは11月にオンラインで行うことになりました。その詳しい実施方法は今後お知らせすることになります。現実に一堂に会することはできませんが、その代わりに、どこからでも参加できるという長所を生かしてどうかご参加ください。
 ところで私がこの一年間余りの経験から感じたのは、大学の教員たちがいかにこのコロナ禍に懸命に対処してきたかということです。昨年の春にはZoomという言葉さえも知らず、遠隔授業など夢にも考えたことがなかった人たちも、何とかオンライン授業を行いそれに慣れてきました(私自身は今も習熟していないのですが)。この事情や、オンライン授業のために、また教育・研究施設の利用が制限されたために、多くの教員の研究時間が(そして場合によっては研究費も)大幅に犠牲になったという事実は、大学以外ではあまり認識されていないように思います。しかしこの経験も、今後教育の方法と内容の向上に資するところになれば決して無駄ではないでしょう。

2021年度学術大会・総会のオンライン開催及び郵送による役員選挙について

事務局長 関 良徳(信州大学)

2021年度学術大会・総会のオンライン開催について

 本年1月に開催された日本法哲学会理事会において、2021年度の学術大会・総会をオンラインで開催することが決まりました。昨年11月に北九州市立大学で開催する予定であった2020年度学術大会・総会が新型コロナウィルス感染拡大の影響により一年間の一部延期となりましたが、今般の感染拡大状況から今年度も会場での開催は不可能であるとの判断に至りました。北九州市立大学での開催を準備していただいた重松博之理事と関係者の皆様には大変申し訳なく感じております。
 事務局では、現在、オンライン開催ワーキング・グループにご協力いただきながら、学術大会・総会のオンライン開催に向けた準備を進めております。会員の皆様には、本年9月にお送りする学会報及び大会案内にて、大会参加のための事前登録手続やオンライン接続に必要な情報の提供方法等につきまして詳細をお知らせ致します。

2021年度日本法哲学会役員選挙について

 本年度の学術大会・総会がオンライン開催と決定されたことを受けて、2021年11月の任期満了に伴う役員選挙は郵送での投票とさせていただくこととなりました。9月の学会報及び大会案内を郵送する際に、会員名簿、投票用紙、投票要領等を同封致しますので、要領記載の手順にしたがって投票していただくようお願い致します。会員の皆様にはお手数をお掛け致しますが、ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。