学会報第38号

(2018年9月15日発行)

学術大会に積極的に出席しよう

日本法哲学会理事長 森村 進(一橋大学)

 さる7月6日(金)から8日(日)にかけて、折からの大雨の中、同志社大学で第1回IVR Japan 国際会議が開かれました。私も参加させてもらい、報告をして一つのセッションの進行役を務めました。この会議で印象に残った出来事はいくつもありますが、その中でも最大のものは、世界各国から約70名もの報告者が集まったということ自体です(その中では特に台湾からの参加者が多く存在感がありました)。報告者の約半分を占める日本の法哲学会員の報告(私 はその一部しか聞けませんでしたが)も、国際的に恥ずかしくない水準だと感じました。これら報告者の多くはまだ若手から中堅ですから、どうか今後は海外で開かれる国際学会にも積極的に参加し、また国際雑誌に投稿するなどして、法哲学の国際的な発展に寄与してもらいたいと希望します。
 さて来たる11月10・11日(土・日)に東京大学において学術大会が開かれます。私は報告やシンポジウムだけでなく、この機会にたくさんの方々に会えることも今から楽しみにしています。
 当然私は大会が盛会であってほしいと望んでいますが、特に将来性ある若い会員の皆さんには、東京観光や交友を温めるといった用事を学術大会の前か後に回して、その週末は大会にフルに参加することをお勧めします。というのは、年一度の学術大会は報告者にとって晴れの場なのでおそらく充実した報告が期待できるというだけでなく、報告を聞くこと自体、研究発表の改善に資するところが多いはずだからです。聴衆をひきつけるプレゼンテーションや発展的・生産的な質疑応答は自分が見習うべきお手本になりますし、万一反対に、学問 的内容が乏しかったり、プレゼンテーションが拙劣だったり、質問が自己顕示的だったり、回答が論点をはぐらかすだけだったりしても、それらは避けるべき反面教師の実例として他山の石となります。
 報告のすべてが皆さんの関心に応えるものではないかもしれませんが、たとえ内職をしながらでも会議の全体に出席して見聞を広めることには意味があると信じます。