2006年度学術大会(終了)
法哲学と法学教育:
ロースクール時代の中で

日 程:2006年11月25日(土)・26日(日)
場 所:青山学院大学 (青山キャンパス総研ビル)

本統一テーマの趣旨

大塚滋(大会委員長)

 2004年度のロースクール発足に伴い、わが国には法学教育を担う教育機関が二種類存在することになった。つまり、現行の法学部・法学研究科(以下、研究大学院と称する)等とロースクール(専門職大学院)である。そこにおける法学教育は、それぞれ異なった理念・目標を背負い、異なった方法で遂行されなければならないのか、それとも両者は同種で連続的なものでありえ、かつ、そうでなければならないのか。もし連続的なものだとすると、両者はどのように関係づけられるべきか。我々、法学教育を担ってきた者はこの難しい問題を突きつけられ、その早急な解決を迫られている、と言えよう。

 法哲学(基礎法学)は、法学部・研究大学院及びロースクールがそれぞれに実践する法学教育において、どのような役割を果たすことができるのか。また、果たすべきなのか。これは、法哲学(基礎法学)自身が、実定法学や法実務界との対質を通して答えを出していかねばならない問題である。この問題は、実定法学に対する法哲学(基礎法学)の関係づけという、伝統的に議論されてきた問題でもあることは言うまでもない。

 そこで、ロースクールの完成年度である2006年度に開催される学術大会において、ロースクールと法学部・研究大学院の、ロースクール発足後2年間のパフォーマンスを評価しつつ、わが国における21世紀の法学教育、および、その中における法哲学のあるべき姿を見定めるために、実定法学や法実務界との間で議論する機会として、このシンポジウムを開催する。

第1日目(25日午前9時〜) 午前の部〈個別テーマ報告〉
A分科会
 三本 卓也(立命館大学非常勤講師)
   「ホーフェルド法的諸概念論の一考察」
 早川 のぞみ(東北大学博士課程)
   「ドゥオーキンの道徳的解釈論—中絶議論を一題材として」(仮題)
 伊佐 智子(長崎純心大学)
   「リプロダクティブ・ライツの法哲学的一考察—少子社会における生殖の自己決定権に関連して—」
 吉岡 剛彦(佐賀大学)
   「アルトゥール・カウフマンの法哲学における人格・抵抗・寛容」

B分科会
 石黒 太(早稲田大学博士課程)
   「ロールズと民主主義」
 稲田 恭明(東京大学助手)
   「コスモポリタン・シティズンシップの射程と限界」
 横濱 竜也(東京大学元博士課程)
   「政治的責務論再考—統治者に対する敬意としての正統性—」(仮題)
 森田 明彦(東京工業大学)
   「近代後期社会における公共倫理の主体—脱中心化する自己の構想—」

第1日 午後の部〈統一テーマ報告〉(午後1時30分〜午後5時半)
 大塚 滋(東海大学)
   「日本型法科大学院と日本の法学教育」 
 北村 隆憲(東海大学)
   「法科大学院及び法学部における法哲学等科目に関する実態調査」
 萩原 金美(神奈川大学)
   「法学教育に対する司法改革のインパクト」
 仲正 昌樹(金沢大学)
   「半外部の視点から見た法学教育」
 那須 耕介(摂南大学)
  「非法律家にとっての法学学習の意味について—「法学部無用論」の手前で」

 大塚・萩原・仲正・那須報告へのコメント 実務家の立場から
   宮川光治(東京弁護士会)

第2日(26日) 午前の部〈統一テーマ報告〉(午前9時半〜)
 山田 八千子(中央大学)
   「法曹養成・法科大学院・法哲学教育」
 平野 仁彦(立命館大学)
   「アメリカにおける法曹養成と法哲学」
 亀本 洋(京都大学)
   「法哲学教育の標準化」

 山田・平野・亀本報告へのコメント 実定法学の立場から
  道垣内 弘人(東京大学)

 報告に対する総括的コメント 法哲学の立場から
   嶋津 格(千葉大学)

第2日 午後の部(午後2時〜午後5時)
  シンポジウム「法哲学と法学教育—ロースクール時代の中で」
   司会 石山 文彦(大東文化大学)
     濱 真一郎(同志社大学)

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